まばたきの回数は、緊張の鹿合いを示すバロメータである
心理学辞典
心理学の全領域および関連する隣接諸科学の用語・人名を解説した、心理学辞典。
事項4021項目、人名347項目を五十音順に配列。
各項目における引用・参照文献と主著を著者のアルファベット順に配列した文献リスト、索引(和文事項、欧文事項、和文人名、欧文人名)がある。
人間の表情や声には、自分が考えている以上に「心の動き」が現れている。
これをコントロールできれば、好印象を得ることも難しいことではない。
「それで、価格はどれくらいなの?」
「保証はつくの?」
「別の色の製品はないの?」
ビジネスでは、質問攻めにあって、答えに窮する場面が出てくる。
落ち着いていれば答えられるのに、無残にも「ど忘れ」なんてこともある。
こうした状況は、人をパニックに陥らせる。
心臓は高鳴り、額には脂汗がにじみ出してくる。
そうした状況を打開するにはどうしたらよいか。
まず言えることは、あなたが落ち着きなく、「ええと、あの……、少々お待ちください、今こちらの資料を……」などとやれば、間違いなく相手はあなたをなめてかかるということである。
もちろん、あなたが運よく回答を見つけ出したとしても、相手はすでに関心を失っているだろうし、「ダメなやつ」との印象は避けられない。
なかには、あなたを困らせるためだけに質問を浴びせかけるという、意地の悪い人もいるかもしれない。
人間は質問攻めにあって答えに窮すると、頭がぼーっとして何も思い浮かばず、ただひたすら「急いで答えを探さないと!」としか考えられなくなる。
その結果、相手にはなめられ、自分のプライドは傷つけられるという敗残の憂き目にあうことになるのだ。
そこで、こういう状況を簡単に切り抜けるテクニックを紹介しよう。
それは「まばたきをするな!」ということである。
目が痛くなっても、かゆくなっても、なんとか普段以上にまばたきの回数を減らしてみるのだ。
まばたきの回数は、緊張の鹿合いを示すバロメータである
だから、頻繁にまばたきをする人は、それだけ緊張しているということになる。
驚くべきことに、それを見ている人も、「ああ、こいつは緊張しているな」と簡単に見抜けるのだ。
通常、私たちは一分間に20回前後のまばたきをしている。
自分では気にならないが、実は3秒に1度くらいの割合でまばたきをする勘定になる。
そこで、これを半分以下に減らしてみよう。
すると、こんな簡単なことだけで、とたんに相手はこちらの緊張を読み取ることができなくなるのだ。
したがって、あなたはその間に落ち着きはらった態度でゆっくりと緊急手段を考えられるのである。
アメリカの心理学者トーエッツの調査によると、大統領選挙に立候補したジョージ・ブッシュとマイケル・デュカキスがテレビ討論をした際に、デュカキスのまばたきは、なんと1分間に60回を超えていたという。
これは通常のまばたきのおよそ3倍である。
彼がいかに緊張していたかが、この事実からうかがわれる。
しかも、デュカキスが緊張していたことは、なにも心理学者だけにばれたのではなく、その番組を見ていた国民すべてに見抜かれたのである。
言ってみれば、デュカキスは公共の電波を通して、自分の恥をさらしたようなものだ。
もちろん、選挙当日、デュカキスは惨敗した。
あんなに緊張した、オドオドしたやつを誇りあるアメリカの大統領になどできるか!
国民はそんなことを無意識のうちに考えたに違いない。
よく深夜にやっている討論番組を見るのも面白い。
よく見れば、劣勢に立たされたほうが必ず頻繁にまばたきしていることに気づくはずだ。
あるいは、何か不祥事を起こしてテレビで謝罪している人を見るのも面白い。
そこでも、やはりカメラのフラッシュを浴びて質問を受けている人のまばたきの回数は増えている。
われわれが緊張した時にまばたきしやすくなるのは、自律神経系の働きによる。
つまり、無意識に出てしまう行動なのである。
そこで、意識してまばたきを減らすように自分自身で命令をしなければ、なかなか回数は減らないのである。
もし、会議、接客、プレゼンなどで焦るような事態になったら、「自分のまばたきは大丈夫か?」と自問自答し、意識しながらまばたきを減らすように心がけよう。
そうしないと、自律神経に負けて回数は自然と増えてしまうからだ。
まばたきしない。
これは簡単なことでありながら、立派なテクニックである。
中国の商人はこのことをよく知っているらしく、重要な交渉では色のついたサングラスをかけ、自分の目を決して見せないようにするのは有名である。
ただし、サングラスで目を隠すのも緊張をさとられないためにはよいだろうが、日本のビジネスでサングラスはちょっと場違いである。
そこで、ちょっと目は痛くなるかもしれないが、まばたきしないというテクニックをとらざるを得ないわけだ。
まばたきは訓練しだいでその回数を減らすことができる。
もしもの時のために、通勤途中などで時間が余っている時に、まばたきしない訓練をするのもよいだろう。
はじめは目が充血するだろうが、慣れればいざという時に緊張を隠すのに役立てることができるのだから、使えるテクニックであることは間違いない。
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